2022年04月13日
【九州版】不妊治療に関する助成金リンク集|助成金の概要と注意すべき点
記事の要約
2022年(令和4年)4月より、一部の不妊治療が保険適用となり、これまで実施していた特定不妊治療の助成金制度が廃止となります。2022年(令和4年)3月31日までに開始している治療については、1回に限り助成金の対象とする経過措置を受けることができるため、期限内に忘れずに申請しましょう。
今回は、九州地方の各自治体ごとの不妊治療助成金の要件とリンクをまとめました。あわせて注意したい点や公的保険との併用はできるのかなどについても解説しています。
特定不妊治療費助成制度|不妊治療の助成制度とは?
不妊治療はこれまで自費治療となっていたため、妊娠まで治療を継続するにあたって経済的な負担が大きくなりがちでした。
そのため、高額になりがちな不妊治療の費用の一部を助成する国の制度に「特定不妊治療費助成制度」があります。ただし、不妊治療を受ける全ての方が対象になるわけではなく、以下のような要件が定められています。
〇対象となる治療法
体外受精、顕微授精
〇対象者
・タイミング法や人工授精では妊娠の見込みがない、または極めて少ないと医師に診断された夫婦(事実婚含む)
・治療期間の初日の妻の年齢が43歳未満
〇給付の内容
・1回30万円(ただし、採卵を行わない凍結肺移植、採卵下が卵を得られず中止した場合は1回10万円)
・40歳未満では通算6回、40歳以上43歳未満は通算3回まで(1子ごと)
・男性不妊治療の場合30万円
〇その他
・指定医療機関のみ対象
・所得制限なし
特定不妊治療費助成制度の注意点|保険診療との併用は可能?
2022年(令和4年)より一部の不妊治療が保険適用となったことで、これまで実施されていた「特定不妊治療費助成制度」は廃止となります。
治療のために、2022(令和4)年3月末までに治療を開始しており、年度をまたぐ一連の治療については1回に限り助成の対象となりますが、2022年(令和4年)4月以降に開始した治療については対象外です。
しかし、2022年(令和4年)までに体外受精・顕微授精での凍結胚を用いて、4月以降に自然周期・ホルモン補充周期で移植を行う場合は、1回に限り助成の対象となります(※いずれも上限回数を超えていない場合のみ)。
また、4月から保険適用開始となった不妊治療は、全ての治療が保険診療の対象ではありません。使用する薬剤や検査などによって現在も自費診療で治療を行っているものもあります。
希望する治療法の一部が自由診療となる場合、保険診療との混合診療は現時点では認められていません。そのため、本来保険診療となる治療でも、自費診療を含む治療があれば全て自費となる点には注意が必要です。また保険診療の場合は、特定不妊治療費助成制度を使った申請はできません。
いずれも各自治体の助成要件を確認し、不明点は治療を受けているクリニックに確認することが大切です。
各都道府県別の不妊治療助成金の要件
ここからは九州地方の各自治体の不妊治療助成金制度の要件を紹介します。地域ごとに申請期限が異なります。また、同県でも市区町村によって、準備する申請書類などが異なる場合がありますので、お住まいの自治体の情報をよく確認しておきましょう。
福岡県の特定不妊治療費助成事業
〇対象治療
・指定医療機関で行う体外受精、顕微受精の特定不妊治療
・2022年(令和4)3月31日までに行った受精胚による凍結胚移植
・男性不妊治療(精巣または精巣上体からの精子採取手術)
〇対象期間
・2022年(令和4年)3月31日までに治療を開始し、2022年(令和4年)4月1日以降に治療が終了する予定のもの
〇申請期限
・2023年(令和5年)3月31日までに申請
・2023年(令和5年)3月中に治療が終了した場合は同年4月30日までに申請
佐賀県の特定不妊治療費助成事業
〇対象治療
・指定医療機関で行う体外受精、顕微受精の特定不妊治療
・2022年(令和4)3月31日までに行った受精胚による凍結胚移植
・男性不妊治療(精巣または精巣上体からの精子採取手術)
〇対象期間
・2022年(令和4年)3月31日までに治療を開始し、2022年(令和4年)4月1日以降に治療が終了する予定のもの
〇申請期限
・2022年(令和4年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日
佐賀県不妊治療支援事業(体外受精、顕微授精への助成)|佐賀県
また佐賀県では、不妊治療の保険適用化に伴って保険診療による不妊治療に対して、2022年4月以降に行った保険診療による不妊治療の治療費の一部を助成をしてくれます。
採卵から妊娠確認までの一連の治療(男性不妊治療は実施無し)にかかる医療費総額が45万円を超える場合は助成対象とはなりません。しかし、他県に比べると、手厚い助成を受けることができるのが特徴です。
詳しくは以下リンクからご確認ください。
長崎県の特定不妊治療費助成事業
〇対象治療
・指定医療機関で行う体外受精、顕微受精の特定不妊治療
・2022年(令和4)3月31日までに行った受精胚による凍結胚移植
〇対象期間
・2022年(令和4年)3月31日までに治療を開始し、2022年(令和4年)4月1日以降に治療が終了する予定のもの
〇申請期限
・記載なし(※要問い合わせ)
【重要】特定不妊治療の保険適用に向けた経過措置について|長崎県
熊本県の特定不妊治療費助成事業
〇対象治療
・指定医療機関で行う体外受精、顕微受精の特定不妊治療
〇対象期間
・2022年(令和4年)3月31日までに治療を開始し、2022年(令和4年)4月1日以降に治療が終了する予定のもの
〇申請期限
治療が終了した日の属する年度の末日(2023年3月31日)までに提出
・2023年3月中に治療が終了した場合に限り、4月末日までに申請
熊本県特定不妊治療費助成事業 保険適用後(令和4年4月1日以降)の取り扱いについて|熊本県
大分県の特定不妊治療費助成事業
〇対象治療
・知事が指定した医療機関で行った体外受精・顕微授精の特定不妊治療
・特定不妊治療と併せて実施した男性不妊治療(精子を精巣または精巣上体から採取するための手術)
〇対象期間
・2022年(令和4年)3月31日までに治療を開始し、2022年(令和4年)4月1日以降に治療が終了する予定のもの
〇申請期限
・治療が終了した日の属する年度の3月末日までに申請(2023年3月31日)
・2023年(令和5年)2月1日~3月31日の間に終了した治療に限り、翌年度5月末日まで申請可能
また大分県では県独自の助成制度を設けており、それに対しても経過措置を講じています。2022年(令和4年)3月31日までに4月1日以降にかかる一連の治療計画を作成している場合には、全額自費となった治療に対して、保険適用相当分の費用に対して7割の助成を行っています。詳細は以下リンクよりご確認ください。
宮崎県の特定不妊治療費助成事業
〇対象治療
・知事が指定した医療機関で行った体外受精・顕微授精の特定不妊治療
〇対象期間
・2022年(令和4年)3月31日までに治療を開始し、2022年(令和4年)4月1日以降に治療が終了する予定のもの
〇申請期限
・治療が終了した日の属する年度の末日(2023年3月31日)までに提出
・2023年3月中に治療が終了した場合には、4月末日までは申請可能
鹿児島県の特定不妊治療費助成事業
〇対象治療
・指定医療機関で行う体外受精、顕微受精の特定不妊治療
・男性不妊治療(精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術など)
〇対象期間
・2022年(令和4年)3月31日までに治療を開始し、2022年(令和4年)4月1日以降に治療が終了する予定のもの
〇申請期限
・治療が終了した日の属する年度の末日(2023年3月31日)までに提出
・2023年3月中に治療が終了した場合には、4月末日までは申請可能
沖縄県の特定不妊治療費助成事業
〇対象治療
・指定医療機関で行う体外受精、顕微受精
・男性不妊治療(精子を精巣又は精巣上体から採取するための手術など)
・2022年(令和4年)3月31日以前に凍結保存した胚を用いて行った胚移植
〇対象期間
・2022年(令和4年)3月31日までに治療を開始し、2022年(令和4年)4月1日以降に治療が終了する予定のもの
〇申請期限
・2023年(令和5年)3月31日までに申請
まとめ
今年から始まった一部不妊治療の保険適用により、これまで実施されていた特定不妊治療の助成制度が廃止となります。自治体によっては県独自の助成制度もあり、より経済的な負担を緩和できるようになっています。
申請期間や申請書類などが異なるため、今回紹介した各自治体のリンク先を確認の上、漏れがないように申請しましょう。