非配偶者間人工授精(AID)~提供配偶子と法整備~
動画内容書き起こし
浜谷先生:実は、これは簡単ではなくて提供精子というのもじゃあ、誰が提供してくれるのかということになります。
ここは非匿名か匿名か個人情報を明かして提供してくださるか、個人情報を全く無しで提供のかという2つのやり方があります。
慶應病院は実は匿名の精子提供に基づいて、精子を使った人工授精を慶應は70年ずっとやってきているのです。
刀禰:70年もですか。
浜谷先生:その治療で生まれたお子さんがもう成人になられているので、実はそういう方々が出自を知る権利というのですけれども、自分のorigineがどういった方なのかというのを求めて活動されていたり、慶應病院にも直接親子でお見えになって情報を求めに来られる場合があります。
当時からずっと匿名を前提に提供いただいていた精子だったので患者さんたちにも、情報をお伝えすることは難しいということはわかっていらっしゃるんです。
けれどもやっぱりそうは言っても、子どものそういう気持ちは大事にしてあげたい。
それは医者としても、そういう気持ちに寄り添いたい気持ちがすごく強いんですが、やっぱり提供してくださった方の人権というか個人情報というのも尊重しなければいけない立場ですので、そこはなかなか難しい出自を知る権利をかなえてあげられない歯がゆさもあります。
慶應病院は今までの既存の治療をやめた経緯があります、実は初診外来の受付を5年前にストップしているんです。
刀禰:そうなのですね
浜谷先生:なので今、そこまでに入られた方に関しては責任がありますので治療を続けている状況です。
けれども新たな提供精子を用いた生殖医療というのはもうストップしています。慶應病院が大体全国の半分の治療はやっていましたので、そういった提供精子を用いた子どもをつくりたいって方々が非常に困られているのも実情です。
それで台湾に行ったりとか駅のトイレで待ち合わせしたりとか、そういう状況に及んでいます
それで、AID、提供精子を用いたお子さんの妊娠中に親が別れたとしても、ちゃんと親御さんの子だということが、父親はちゃんと子を育てる責任があるということが法的にも確約されたという状況がやっとつくられたところです。
出自を知る権利まではまだまだなのですが、法律案の中の附則というところに2年間の間に出自を知る権利に対しても配慮できるようなシステムをつくりなさいと立法がちゃんと言っています。それが今年末なんです。それに向けた国の動きに大変期待しております。
そこが整備できれば提供卵子提供精子のシステムができれば提供卵子も自ずとできていくと思うので、そこができるようになれば普通の一般の不妊治療をやられている方でも40歳に乗っかってきて、気持ちもすごく追い詰められて、これ以上やるしかないというような方々の期待を背負って頑張ってらっしゃって、そういった方々のそういう選択肢もあるということだけでも、救いになるのではないかというふうに非常に思い、今の国の動きを非常に期待して見守って注視しているところです
橘:今年って保険適用もそうですし法整備もすごく非常に転換期なんですね。
刀禰:僕は本当に初めてAIDについて先生から教えていただいたんですけれども、まだまだ課題があるけれどもこれから先生がおっしゃったとおり40歳以上の方々にもまた精子提供、卵子提供みたいな道も日本でもできそうだとかもしれないと
浜谷先生:そうですね、例えば45歳までずっと不妊治療を泣く泣く続けてそこから考えるのではやっぱりお子さんを育てるのはすごく高齢になってしまいますよね
だからやっぱり42歳とかぐらいで決断できると、やっぱりその3年というのがすごく大きいと思うんですね。
だから、そういうシステムがちゃんとできるというのは非常に大事なことだと思います。
卵子提供とかにこだわっていなくて片側だけが血がつながっていてもしょうがないから、もう特別養子縁組に行きたいという方も中にはいらっしゃいます。
色んな考え方をする方がいらっしゃるので、それはいろいろな家族の形があってもいいですし、ちょっと突っ込みすぎかもしれないですけどレズビアンの方々とかも子ども育てたいと思っても手段がないわけですね。提供精子をもらえないとで。
ちゃんとしたご婦妻でレズビアンでやっていらっしゃる方もやはりそういう方にも子どもは育てて国としては育ててほしいとそうあるべきだと思うのですが、そういう方々にチャンスもない同性婚も合法化されていない、法律がないそういったところもまだまだ後進国だと感じます。
LGBTQといったそういうマイノリティーの方たちにもちゃんとこういう生殖医療というのは使命が果たせるようになって頂きたいというふうに思っています
刀禰:浜谷先生の熱い思いがひしひしと伝わるお話でした。
今後、慶應大学の浜谷先生の方にいろいろと教えていただきたいという方は、ぜひ慶應大学に行っていただければと思います。
今日は先生どうもありがとうございました
浜谷先生:ありがとうございました。