月経現象の基礎知識
動画内容書き起こし
当メディアを運営する「株式会社メンタルヘルステクノロジーズ」代表の刀禰と、産婦人科医の吉村先生の2名に、不妊治療に関するメディアを立ち上げる目的をお話しいただきました。
吉村先生は、月経を「女性の身体の健康のバロメーター」であると表現します。
不妊治療の情報を収集するうえで最も重要なことの一つに、ご夫婦が月経についての正しい知識を理解していただくことがあげられます。
通院する不妊治療クリニックや、不妊治療の方法ではなく、まずは女性が妊娠するタイミングを見極める月経現象についての正しい知識を、動画を通して今一度、先生と一緒に振り返って頂ければと思います。
一般的には「生理」と呼ばれる「月経」について、月経が起こる周期にみられる現象を中心に、体系的に解説してまいります。
生理と月経の違いとは?
刀禰:さっそく第1弾の話を、吉村先生にお伺いできればなというふうに思うんですけれども、何から話しましょうと先生にご相談したときにまずは月経というお話が一番重要だというふうにおっしゃっていただいたんですけども、早速本当は不妊治療のクリニックとかそういった話をしたかったんですけれども、それでも、これが重要だというふうにおっしゃっている先生のお話を教えていただきたいです。
吉村先生:やはり女性の身体の健康のバロメーターというのは月経なんですよね。月経が規則正しく起こってくるということが、大事なことなんですよ。普通、一般の方は月経と言いませんよね。
刀禰:生理と言いますよね。
吉村先生:生理という言葉が、一般的であるし、色々なところでも生理という言葉が使われると思うんですけど、正しくは医学的には月経と言うんですよね。なぜこれが生理と言われだしたか、刀禰さん知っていますか?
刀禰:恥ずかしながら分からないですね。
吉村先生:みなさんも知らないと思うんですけど昭和22年ですから、1947年ですね。労働基準法ができた時に、生理休暇という言葉を使ったんですよ。労働基準法で、「生理休暇」という制度が決まったときに、生理という言葉を使ったんです。
それ以来なんとなくですね、「生理」というような言い方が広まり現在に至っているんですね。私たちは医学生のときには、生理なんて言葉を使ったらすごく怒られました。「生理は生理現象のことですよ、月経とは違うでしょうが」とか言って注意されました。一般の方々にも月経という言葉を使ってほしいんだけれども、皆さんが生理の方が使い慣れているということであるのなら、生理ということでいいと思うんです。
女性に起こる月経・生理現象について
月経は1ヶ月に1回ずつ起こってくる、子宮内膜という子宮の中の内膜が剥がれる現象なんです。なぜ月経が起こるかというとですね、女性は毎月妊娠するために
色んな変化が起きています。着床できなくて妊娠しませんでしたねといって現れてくるのが月経なんですね。月経は人によって周期によっても違いますが、正常な月経の周期というのがあってですね、一応月経というのは月経の始まりから月経の次の月経の始まりまでを、月経周期と言います。だいたい25日から38日ぐらいの人は、正常だとします。
刀禰:1ヶ月って勝手に素人ながら思っているんですけど、
吉村先生:25日から38日が正常だから、あるときは25日で来るし、あるときは30日で来るという人もいるんですけど規則正しく毎月同じ日に来る人もいます。人によってはさまざまなことがあるので、この幅で来ていればですね、まず月経は正常周期であるといっていいと思います。その周期の真ん中あたりに排卵という現象が起こります。その頃に、排卵が起こった頃に、性生活をすると妊娠ができて、そして1週間後ぐらいで受精卵が着床します。受精が起こっても着床が起こらないと月経になってしまいます。
月経が始まることを、初潮と言います。初潮はだいたい100年ぐらい前から比べると
3年間ぐらい早くなっています。
月経が起こる時期と病気のリスク
刀禰:そうなんですね。
吉村先生:身体の発育がいいので脂肪のつき具合とか栄養状態もいいということももちろんあり、3年ぐらい早まってます。
ところが面白いことに閉経の時期というのは、月経が終わる時期、これはまったく100年ほど前と変わってないんですね。50歳前後で月経が終わるということ、すなわちこれは何を意味しているかわかります?
刀禰:生理の回数が増えている?
吉村先生:それもそうですけれども、女性の生殖の能力というのは100年前とそれほど変わっていないということです。要するに生殖能力は50歳前後で無くなってしまうんですね。昔のヒトの寿命って、50年とか60年ぐらいでした。これは他の哺乳動物と同じで、月経が終わって生殖能力が終わると哺乳動物はだいたい死んでしまうんです。
刀禰:そうなんですね。
吉村先生:人間だけが今80年も生きられますよね。閉経して30年も生きるという動物は人間だけなんです。100年ぐらい前だったら50年60年で亡くなっていたというのは別に哺乳動物としては全くおかしくないことなんですね。ちょっと若く月経が起こるようになったけれども、生殖能力というのは体が元気になって長く生きられても生殖能力は変わっていないということを示しています。
この月経の回数ですけど昔は先ほどもいましたけど6回とか7回妊娠して、そしてその後もおっぱいあげますよね?そうすると妊娠中も当然月経無いですし、おっぱいを1年2年やってると2年間くらいない人もいます。
刀禰:僕は素人なので色々と伺いたいのですけれども、おっぱいをあげているときも月経ってないものなんですね?
吉村先生:おっぱいをあげていても起こる人もいます。
刀禰:なるほど
吉村先生:おっぱいをあげていると、1年間ぐらい月経のない人が一般的です。
刀禰:そうなんですね。
吉村先生:おっぱいをあげていても起こる人もいるんですよ。けれども1年2年ない人もいっぱいいます。そして次また月経が起こらないで妊娠してしまうというようなことを繰り返していると、100年ぐらい前の人たちというのは、少ない人だと一生の間に50回ぐらい、月経の回数が多い人でも150回くらいでした。
今の人たちは初潮も少し早くなって一生の間に450回ぐらい経験する人が多くなっています。
刀禰:全然数が違いますね。
吉村先生:ですから子どもさん一人二人産んでも、400回〜450回となると今の人たちというのは昔の人に比べて6~8倍ぐらい、月経にさらされているということになりますね。
これによってですね、色んな病気が出来てくるんですね。
刀禰:病気も出来てきちゃうんですね。
吉村先生:要するに昔の人は、月経にさらされている期間が少ないですが、今の人は非常にさらされている期間が多いので、色んな病気、たとえば今刀禰さんも聞いたことがあるかもしれないけれど、子宮内膜症という病気は知っていますか?
刀禰:耳にしたことはあります。
吉村先生:月経痛が強くてお薬飲まなくちゃいけないとか、それで苦しんで仕事に行けないとかそういったことが起こりますけど、月経にさらされている回数が多くなったことによって起こる現代病の一つだと言われています。