保険適応診療における展望~男性の不妊治療~

動画内容書き起こし

:皆さん、こんにちは。本日も黒田優佳子先生にお話を伺ってまいります。先生、よろしくお願いいたします。

黒田先生:よろしくお願いいたします。

刀禰:よろしくお願いいたします。

:先生、保険適用が不妊治療にも2022年の4月から始まりましたが、先生が前回教えてくださった黒田メソッド、先生のところのオーダーメイド治療、こちらについてはいかがですか。

黒田先生:そうですね、大変に申し訳ないんですが、当院に関しては まだ自費診療のまま継続をさせていただいております。保険診療のその枠内には うちの特殊技術というのは入ることができませんので、今までと同じ形で自費診療という形で継続しております。

刀禰:一般的には卵子を主軸とした不妊治療というのが広まっている中で、先生は逆転の発想で精子を主軸に、まずは そこをエビデンス固めながら患者さんのサポートをするというところで、すみません、初めて聞いたので。

黒田先生:そうですよね。

:すごく大事ですよね。

黒田先生:多分うちだけだと思いますね、そういう対応していっているのは。

刀禰:日本の中にも他に精子の研究されている先生、いらっしゃるんじゃないですか。そうでもないんですか。

黒田先生:正直なところ、本当の『臨床精子学』というのを長くやっているドクターというのは、極めてゼロに等しいと言います。
完全なサイエンティスト、科学者という形で、ドクターではなくて精子の研究をしている方は一緒の精子の研究チームのメンバーでもいらっしゃいますけれども。
最近、医療機関の先生も含めて精子に興味を持って係るようになっていますけど、正直なところ私が20代、36年前から精子の研究に着手したころというのは極めてゼロに等しいという時代でしたので。

刀禰:最近のこの保険診療について方向性について、先生はどういうふうに思います。

黒田先生:不妊治療というのは今まで自費診療ですから、やはり経済的負担が大きいというところは やはり患者さんにとってはとても辛いところですよね。
ですから、保険化されたことによって そこの負担軽減ということは大変喜ばしいと考えております。ただ一方で保険化したことによって、これまで表面化してこなかった不妊治療の、いわゆる問題点というものが逆に浮き彫りになってくる可能性というのがあると思うんですね。

:どういった問題ですか。

黒田先生:まずは、自由診療、自費診療であるという場合においては、患者ご夫婦様側と医療機関、主治医側の言ってみれば個人の契約で成り立っている診療スタイルなんですね。
ただ、保険診療になるということは健康保険の保険者ならびに自治体とかの合意というのも必要になってきますし、何よりもやはり『EBM』ですね、『科学的根拠に基づいた医療』というものが重視されていきます。
もう少し具体的に申し上げれば、「不妊治療そのものが科学的根拠に基づいて安全性ならびに有効性が高いということが証明されている、確認されているという意味で標準治療になっている」ということが保険診療の絶対条件ですね。
ですけど、正直なところ現状そうではない部分がたくさんあります。
ですから、保険化することにも、やはりその辺のファジーになった部分というのが浮き彫りになってくると思いますし、医療経済の観点から申し上げれば、保険化して保険診療になるということになりますと、不妊治療の適正化ですね。あと効率性。すなわち『費用対効果』ですよね。
そこの部分というのが求められてきますけれども、これまでの不妊治療というのは、適用化ですね。適用基準、それは治療限界も含めて適用基準を明確に設定できている状況では正直なかったですから。
全くそこに触れられていない、議論されてない部分も。当たり前のことなのだけど医療の原点にかえって、不妊治療のまず『適用基準、ならびに その有効性、安全性、効率化』ですね。
そこのところをしっかり明確化する必要性が保険診療に伴って要求されてくるということは間違いないと思います。

これまでの自由診療では、みんなが不妊治療を希望すれば、「どうぞどうぞ・・・」という形で治療の土俵に乗れましたし、みんなが「妊娠しましょう」「頑張りましょう」ということで治療を進めていくということも可能であったかもしれませんし・・・
ですけど正直なところ、これまでのお話でもずっと申し上げてまいりましたように、なかなかみんなが不妊治療の土俵に乗れるわけではなくて、なかなか安全な命を導くためにも厳しい現実がある場合も出てきてしまうので、『治療限界』というのが当然どのご病気にもありますのでね。
やはりそこの部分というのは今までは全くマスクされて論議には至らなかったけれど。やはりしっかり、まず入口戦略の所を明確化する、その一個人に合った適正な安全かつ有効な治療の技術として、どういったものを組み合わせてやるのかということは、保険診療においてやらねばならないし、ということが求められてくるというふうには思っております。

刀禰:本当そうですね、やはり、一見こういう表現は少し失礼なんですけど、マイナーというか、卵子と精子学の、こっちのマイナーと思われるような精子の方も、先生の方で だいぶエビデンスを基盤にやられていらっしゃるので、こういったアプローチも保険診療化といった形になると本当はいいはずですよね。

黒田先生:そうですね。そういう形でね、ご検討いただく形で。

刀禰:先生のところは、まだ自費診療でという形で。

黒田先生:大変心を痛めますけれども、どうしても当院は特殊ですので。

刀禰:ご理解いただければ。

黒田先生:ご理解いただく中で、よろしければ、精子の精密検査にまずいらしていただければと思います。

刀禰:精子の精密検査は、今日、ものすごい重要だということが。

:本当に、これは不妊治療されるご夫婦、全てに受けていただきたいと思います。

黒田先生:まずね、採卵、卵子が先というのは、やはりリスクも採卵にはありますし、採卵自体が いくら保険化されても ご費用がそれなりに額とすれば お高くなりますので。いろんな意味で節約、効率的になりますので、精子のまず検査から、ぜひお考えいただきたいと思います。

刀禰:ちなみに、検査はおいくらくらいでしょうか?

黒田先生:内容によって異なります。

刀禰:内容による、ということですね。
橘:本当に大切なお話をたくさん教えていただきましてありがとうございました。黒田インターナショナル メディカル リプロダクション 院長の黒田優佳子先生に お話を伺ってまいりました。先生、本当に貴重なお話ありがとうございました。

黒田先生:ありがとうございました。

刀禰:ありがとうございました。

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