2022年04月13日
不妊症とは?条件や割合、男女別の原因を解説!
パートナーとの間に子どもを持ちたいと思いながら、一定期間妊娠しない場合を「不妊症」と言います。不妊症は決して珍しいものではなく、子どもを希望する場合は検査を受けましょう。
この記事では、不妊症とはどのような状態か、条件や割合、男女別の原因を解説します。
不妊症とは?
不妊とは、妊娠を望んでいる健康な男女が避妊せずに性交渉をしていても、一定期間妊娠しない場合をいいます。
日本産科婦人科学会では、この『一定期間』を「1年が一般的である」と定義しています。
参考:日本産科婦人科学会
しかし、排卵がない場合や子宮の病気があると妊娠しにくいことが分かっています。このような場合は、治療や検査を行った方がいい場合もあります。パートナーとの間に子どもを望んだら、ブライダルチェックなどのスクリーニング検査を受けましょう。
不妊症の方はどれくらいいるか
パートナーとの間に子どもを持ちたいと思いながら、なかなか妊娠しないカップルは5~6組に1組とも言われています。
厚生労働省によると、日本では不妊ではないかと心配したことがある夫婦は35.0%で、夫婦全体では約2.9組に1組です。また、実際に不妊治療を受けていた夫婦・現在も不妊治療を受けている夫婦は18.2%で全体の約5.5組に1組の割合です。
参考:厚生労働省|不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック(PDF)
妊娠のしやすさは、女性の年齢により大きく変化します。通常、女性がもっとも妊娠しやすいとされる年齢は25~30歳です。しかし、現在では女性の社会進出や晩婚に伴って初婚の年齢が29.4歳、第一子出生時の母親の年齢は30.7歳となっています。30歳後半になると妊娠しにくくなり、45歳を過ぎると妊娠の可能性もほとんどなくなってしまいます。
こうした背景もあり、2019年には日本で生まれる子どもの約14人に1人は、生殖補助医療によって生まれているのです。
女性の不妊症の原因とは
妊娠が成立するためには排卵・受精・着床などさまざまな条件がそろわなければなりません。ここでは代表的な女性の不妊症の原因を説明します。
排卵因子
排卵因子は、何らかの原因で排卵がうまく行われていない場合をいいます。これを排卵障害といい、月経周期が25〜38日に当てはまらない場合は、排卵障害の可能性があります。
代表的な排卵障害の原因は高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、精神的ストレス、過度なダイエットです。
卵管因子
卵管因子は、性器クラミジア感染症により卵管が閉塞したり卵管周囲が癒着したりすることで、卵管に卵子が取り込まれにくくなる病態です。女性はクラミジアにかかっても症状に気づかないことがあります。
また虫垂炎の手術後や子宮内膜症の方にも卵管や卵管周辺の癒着がみられることがあります。
子宮因子
子宮筋腫や粘膜下筋腫などの子宮の病気は、受精卵が子宮内膜に着床しにくくなるため不妊症の原因となるでしょう。また、子宮内膜ポリープも着床障害の原因になります。
その他
女性の不妊の原因には、排卵や子宮、卵管の問題以外にも、子宮頸部の炎症や免疫異常で精子そのものを障害したり精子の運動を止めてしまう抗体を持っている女性は妊娠を妨げてしまうことがあります。
原因不明
不妊症のなかには、検査をしても明らかな原因が見つからないこともあります。このような場合を「原因不明不妊」と呼び、高年齢の不妊女性が増加したことでその割合は増加傾向にあるのが特徴です。
性の不妊症の原因とは
不妊症と聞くと、女性側の問題と考える人もいるかもしれません。しかしそれは誤りです。
世界保険機構(WHO)によると、男性不妊のカップルが24%、女性不妊のみに原因があるカップルが41%、男女ともに原因があるカップルが24%、原因不明は1%と報告しており、女性だけの問題ではないことが分かります。
ここでは男性の不妊症の原因にはどのようなものがあるか説明します。
造精機能障害
造精機能障害とは何らかの理由で精子がたくさん作れない状態です。精子を作る過程や成熟過程に異常があると、精子の数が低下する、精子の動きが悪くなる、奇形率が多くなることで受精する力が低下します。
多くの場合、はっきりとした原因は分かっていませんが、精索静脈瘤も造精機能障害を引き起こす原因の1つです。
性機能障害
性機能障害とは性行為ができない状態です。性行為に必要となる十分な勃起が起こらず性行為がうまくいかない勃起障害(ED)と射精ができない射精障害がこれに当たります。
EDの原因は動脈硬化や糖尿病などの病気によるものもありますが、不妊治療やパートナーからのプレッシャーで起こる心因性が多いとされています。
精路通過障害
精路通過障害とは精子の通り道に何らかの異常が起こっているために精子が出てこれない状態です。精子は精巣内で作られると精巣上体、精管、射精菅、尿道を通って外に排出されます。しかし、この通り道が閉塞されていると精子は外に出ることができません。
代表的な疾患は先天性の両側精管欠損、精巣上体炎後の炎症性閉塞などがあります。
どんな人が不妊症になりやすい?
女性の不妊症は、年齢が35歳以上の女性に起こりやすいことが分かっています。また、以下のような症状がある人も不妊症の検査を受けましょう。
- 月経の異常がある人
- 性感染症、骨盤腹膜炎になっている人
- 以前に子宮筋腫や子宮内膜症と指摘されている人
また、男性は睾丸の大きさに左右差があったり、小さかったり、柔らかくなったり、コブのようなものができていたりする人は精液の所見が悪化している可能性があります。男女ともに、少しでも不安に感じる場合は医療機関を受診しましょう。
まとめ
パートナーとの間に子どもを持ちたいと思いながら、なかなか妊娠しないカップルは5.5組に1組とも言われており、2019年には日本で生まれる子どもの約14人に1人は、生殖補助医療によって生まれています。
不妊症の原因は女性だけではなく、約半数は男性にも原因があることが分かっています。本記事を参考に気になる症状があれば、医療機関を受診しましょう。