「子どもはほしいけれど、今じゃない」 卵子凍結を検討するキャリア女性の不安と企業がすべきサポートは? ~バリキャリ女性106名に調査~

「子どもはほしいけれど、今じゃない」 卵子凍結を検討するキャリア女性の不安と企業がすべきサポートは? ~バリキャリ女性106名に調査~
「今は仕事に集中したいけれど、将来の出産も諦めたくない。しかし高齢になると妊娠率が下がってしまう…」と悩む女性から注目を集めている卵子凍結。若いうちに質の高い卵子を凍結しておき、出産の時期を遅らせる方法として多くのクリニックで取り入れられています。しかし、卵子凍結という方法があることは知っているものの、実際に行った経験者が周囲に多くはおらず具体的なイメージができていないのが現状のようです。今回は、年収500万円以上の女性会社員106名を対象に行ったアンケート結果(※1)を交えながら、卵子凍結に関する女性の意識をお伝えします。

※1|バリキャリ女性の卵子凍結に関する意識調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000027306.html

目次

  1. 卵子凍結とは
  2. 卵子凍結を検討する女性の特徴と理由
  3. 卵子凍結における不安
  4. 卵子凍結に関する知識
  5. 卵子凍結検討者に対する企業のサポート

卵子凍結とは

卵子凍結(卵子の凍結保存)は、女性が将来の妊娠計画のために自身の卵子を保存する医療手法です。卵子は年齢を重ねると共に老化してしまい、質が低下した卵子では妊娠率が下がります。様々な事情によって、出産を希望する女性が必ずしも若いうちに出産できるわけではありません。卵子凍結は、女性にとって将来の出産の選択肢を広げる重要な手法です。

医学的な進歩により、卵子凍結の成功率や安全性も高まっており、出産の高齢化対策や不妊治療の一環として多くのクリニックで取り入れられています。

卵子凍結を検討する女性の特徴と理由

出産を遅らせるための手段として注目されている卵子凍結。もともとは、がん治療で卵巣機能が低下する患者が、治療前に卵子を温存する手段として用いられてきました。しかし現在では、健康な女性でも卵子凍結を行うことが可能となっています。日本では2013年に日本生殖医学会がガイドラインを発表。採卵時の年齢の制限などに言及しつつ、事実上は健康な女性の卵子凍結を認めています。

健康でありながら「出産を遅らせたい」と、卵子凍結を検討する女性の特徴として挙げられるのは、「キャリア思考な女性」です。これまで、日本において結婚や出産の適齢期と言われたのは20代半ば〜30代半ば。しかし、女性の社会的・経済的な地位向上やキャリアの追求が進む中、多くの女性にとってその年齢はちょうど仕事に集中したい時期でもあります。出産を遅らせることで、「仕事か、子どもか」と二者択一を迫られず、柔軟性をもって将来の計画を立てることができます。

年収500万円以上の女性会社員106名を対象に行ったアンケートによると、将来に備えて自身の未授精卵子を凍結するという選択肢を考えたことがある女性は45.2%でした。卵子凍結を考えた理由としては、「年齢を重ねると妊娠が難しくなるから(83.3%)」、「将来の保険・選択肢として残しておきたいから(47.9%)、「仕事が優先で、結婚や妊娠を遅らせたいから(31.3%)」という声が聞かれました。

卵子凍結を検討する女性の特徴と理由 卵子凍結を検討する女性の特徴と理由
その他にも以下のような理由が挙げられています。

  • 29歳:子供は欲しいが結婚の予定が今はないから。
  • 31歳:同性の恋人がいるので、将来の選択肢として備えておきたいため。
  • 33歳:子どもは欲しいがまだ産むタイミングじゃないと思ってるから。
  • 29歳:現在は子供を持つことを考えてないが将来万が一欲しくなったときのため。
  • 29歳:若い時の卵子の方が、子どもの先天性の病気等のリスクが低いのかなと感じるため。
  • 30歳:未来で後悔したくないから。

卵子凍結における不安

卵子凍結においても最も大きな不安として挙げられるのは費用です。

不妊治療のための卵子凍結費用は医療費控除の対象になりますが、将来に備えた卵子凍結費用は、医療費控除の対象にならず、全額自己負担。卵子凍結には、採卵と保管費用がかかり、金額は病院によって異なるものの、1回の採卵費用は約20万円、保管費用は年間3~5万円が相場といわれています。その他に、検査費用や凍結費用、そして凍結保管した卵子を体外受精させるときにも費用がかかります。

また、仕事をしながらのスケジュール調整に関する不安も聞かれます。実際、通院が大変であったという経験者の声もあります。採卵前には卵子の状態を検査するために通院する必要があり、一度で目標とする個数が採卵できなければ再度通院しなければなりません。

アンケート調査でも、未受精卵子を凍結するにあたっての不安として「価格が高い(64.6%)、「仕事とのスケジュール調整(45.8%)、「薬の副作用など心身・生活への負担(43.8%)」という声が聞かれました。

卵子凍結における不安

卵子凍結に関する知識

日本産科婦人科学会の報告によると、2020年に日本で行われた卵子凍結は約900例です(※2)。その数は年々増加しており、凍結された卵子を用いた妊娠・出産例も増えているものの、まだ一般的な手段とは言えません。調査においても、身近に卵子凍結を行っている人がいる割合は10.4%に留まりました。また、卵子凍結に関する正しい知識を持っていると思う女性は、わずか21.7%に過ぎません。

※2|2020年体外受精・胚移植等の臨床実施成績
https://www.jsog.or.jp/activity/art/2020_ARTdata.pdf

卵子凍結に関する情報の入手先は「Webメディアなどのオンライン媒体」が最多であり、73.8%の女性が、将来に備えて卵子凍結に関する正しい知識を取得したいと回答しています。

卵子凍結検討者に対する企業のサポート

キャリアを重視する多くの女性が、「年齢を重ねると妊娠が難しくなる」や「将来の保険・選択肢として残しておきたい」などといった理由から、自身の未授精卵子を凍結する「卵子凍結」という選択肢を検討しています。

しかし、費用や仕事とのスケジュール調整に関する多くの不安もあり、実際に行うには大きな決断が必要となります。そのような現状を受け、米国の大手企業をはじめ、日本でもメルカリなどが卵子凍結にかかる費用を負担する福利厚生制度を導入しています。

身近に事例が少ないことからも、周囲に相談できず悩んでいる女性も多くいることでしょう。結婚や出産といったライフイベントをキャリアに対するデメリットとせず、女性に長く活躍してもらいたいと考えるのであれば、企業には費用面の援助とともに、メンタルサポートも求められます。

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