大学病院の保険診療 ~適応範囲について~

動画内容書き起こし

刀禰:慶應大学の方で研究している不妊治療の保険診療のまず範囲から教えていただきたいなというふうに思うのですけれども。

浜谷先生:保険診療は別に、慶應病院というか、全国で統一されたルールがあります。
40歳未満の方は6回胚移植ができる40歳から43歳未満の方42歳までですね。そういった方々は3回胚移植ができるというふうになっています。

:はい先生!胚移植ってなんですか?

浜谷先生:そうですよね。体外受精を説明するのは難しいかもしれません。
まずはですね、女性は1ヶ月に1回排卵がありますね。そのときに1つの卵が選ばれて
左右どちらからか1個卵が出ている排卵しているという状況が正常な方にはあります。
そこを体外受精するためには卵巣に対して刺激をして、注射だったり、飲み薬だったり
するのですけども刺激をすることによって複数個の卵を育てる厳密にいうと卵胞といって、卵は水の袋の中に育てられるのですけどもその卵胞がたくさん複数個育つような
薬で処置をするわけですね。
それで10日から2週間ぐらいそういう処置をしますとたくさん卵胞が育ってきます
だけど人間の卵胞は破けて卵を出す、排卵ということをするようにできているので大きいのができちゃうと排卵しちゃうそうすると、ほかの卵がなくなってしまいます。
なので、排卵を抑えて他の小さめの卵とかも大きく育てて一網打尽にいっぱいとりたいというのが体外受精ですから、排卵を抑える必要があるんですだから排卵を抑える薬も後半戦は追加になります。そういうことをして採卵をします。
そして、卵をとって精子と受精させます。その後、精子が卵子に入っていきます。それで、針で刺して入れるやり方もあるのですが、普通はふりかけと言われるような、混ぜるだけで、卵子に自然に入っていくその後、5日間3日間で凍結することもあるのです。
けれど、5日間外で培養する、それが体外培養というやつですね。そして、胚をそこで培養して体外で受精させて体外で培養して、それで受精卵が育っていくわけです。それを子宮の中に戻すと胚移植になります。
それが妊娠するチャンスを作ることになります。

:そこまでの全部の過程を胚移植というのですか?

浜谷先生:その過程が体外受精&胚移植です。

:なるほど、じゃあ培養して子宮に戻すことが胚移植?

浜谷先生:そうですね、最後の戻すところが胚移植です。
それでさっきの話に戻りますと胚移植というのはそういう採卵があってこその胚移植で卵がたくさんとれると、それを胚移植で戻しても余りますから、胚移植した後に残った胚を凍結保存します。
そして、凍結保存しておいて1個ずつ胚移植していくというのが原則になっています。
だから、採卵の回数ではないということを言いたいのですね。採卵でたくさんとれる人は胚移植が、回数がたくさん胚移植すると、その制限回数に達してしまうので採卵か3回できたり6回できるわけではないのです。
ですので、ただそういったところの胚移植の回数で制限されていて、その範囲内であれば保険がきくようになっています。
国もかなり制度を作る上で制度設計はよく考えられている部分も多いと思います、ただもちろん不備もたくさんあって現場は紛糾しているのですけれども最初のスタートアップとしては非常によく練られていたのではないかと思います。
クリニックの収入というか今までの治療費、これまで使用してきた方との差額というのもそんなにないですし、ちゃんと助成金で今まで返ってきていたのです。
そういったことも考慮した上手な保険制度ができているのではないかと思いますね。
それはだからどこも一緒でそういうシステムに乗っかってやっています、ただ国としては卵がたくさん残っているのであれば、次の採卵をしてはいけない胚というのは、受精卵が分割した後のことなのですけど、凍結した胚が残っている以上は採卵をしてはいけなくて。その凍結胚をちゃんと戻して妊娠のチャンスをつくってくださいと言っています。
2児目とか3児目のことまで考えてたくさん卵を凍結して採卵をいっぱい保険でしようというのはダメですよ、ということがルールになっています。

刀禰:そうなんですね、現実的にはやっぱり若い時に作った方が良いですよね?

浜谷先生:そうなんですよ。できるだけ若い時の卵を採卵回数を重ねたいという方がいるのですけど、それは贅沢な悩みで自費でしなさいということだと、国の制度設計はそういう見地から作られているような感じですね。

刀禰:今、体外受精の話だったと思うんですけども、ほかにもタイミング法と人工授精も
やられているんですか?

浜谷先生:はい、やっています。もちろん、そこから始める方のほうが多いと思います、検査をして保険の場合は最低限の検査になっているのですけど、しかも保険がきくものはきくようにしています。検査をして異常がなければやはりタイミング療法からはじめます先ほどお話しした卵巣の中に卵胞と呼ばれる卵の袋が育ってきますので、それがある程度の大きさになると排卵しますから、その大きさを測って明日がいいですよとか、明後日かいいですよというようなアドバイスをするようなのがタイミング診療ですね。
それで同じように、明日がいいですよ明後日がいいですよというのを夜頑張ってくださいと言うんじゃなくて、精液を持ってきてくださいそうしたら、こちらで遠心分離をして
きれいな状態で子宮の中に精子を入れていきますよというのが人工授精です。

:先生、タイミングを指示していただくために調べるのは、どうやってそれもなんか中に入れたりしないといけないのですか?

浜谷先生:そんなことではないです。超音波を見て卵胞の大きさを測るだけなので
痛みはないと思います。
ただ経膣超音波といいまして膣の中に超音波を入れていくので婦人科の診察に慣れていない方だとまずそこから敷居が高くなってしまうのかもしれません。

刀禰:まず慶應大学の方でやられている生殖医療、不妊治療について、先生の方にまず引き続きのところをお伺いしました。先生、どうもありがとうございました。

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