2022年04月13日
男性の妊活や不妊治療で気を付けること
男性の妊活や不妊治療で気を付けること
以前は不妊治療というと女性が受けるものと認識されていましたが、男性側に原因がある場合もあること、また男性にも妊活や不妊治療が必要であることが広く認知されています。男性に不妊の原因があった場合、どのような妊活の方法があるのか、また不妊治療の内容についてもご紹介します。
男性の不妊症とは?
男性不妊の原因は精子にありますが、その中でも3つに分類されます。
造精機能障害(精子形成障害)
精子が多く作れない、奇形が多いなど質がよくないといった状態です。男性不妊で一番多いのがこのタイプです。検査の結果があまりよくなかったとしても、1匹でも質の良い精子が獲得できれば、顕微授精などで妊娠を目指すことができます。
精子検査のWHO基準値は以下のとおりです。基準を満たす数値があれば、自然妊娠が可能であり、男性不妊の可能性は低いと言えるでしょう。
精液量 | 1.4ml以上 |
---|---|
総精子数 | 39×106 |
精子濃度 | 1600万/ml以上 |
運動率 | 42%以上 |
正常形態率 | 4%以上(奇形率96%未満) |
精路通過障害
精子が通れない、出てこない状態であり、場合によっては手術などで改善できます。
性機能障害
性行為ができないというもので、精神的なことが関係していることも多いです。
不妊の原因が男性である確率
世界保健機構(WHO)によると、男性のみに不妊の原因があるケースが24%、男女ともに原因があるケースが24%と報告されています。女性のみの原因が41%、原因不明が11%です。半数近くが男性にも原因があります。このことからも、不妊治療を考えたら、早い段階で男性の検査も行うべきだと言えるでしょう。
男性が行う妊活の方法
精子の数が少ない、運動率が低いなど質に関することは、生活習慣を見直すことで改善できることがあります。
- 朝食は必ずとること
- 適正体重の維持(太りすぎている場合は痩せる)
- 銀杏葉エキスをとる
- ビタミンCをとる
- ビタミンEをとる
- 亜鉛をとる
- 大豆製品をとる
- アルコールをとりすぎない(ビールなら1日1杯)
- 下着をゆるいトランクスにかえる
- きついズボンを履かない
- サウナ、長風呂を控える
- 寝るときは下着をつけない
- コーヒーは飲まない
- 週2回以上射精する
- 起床後や就寝前に厚顔を軽くマッサージする
- 禁煙
- パソコン作業は1日2時間程度まで
- 精神安定剤の服用は避ける
1.2は健康維持のために必要です。
3~5は細胞分裂の活性化のために。
6は精子の原料になります。
7は男性ホルモンの活性化に役立ちます。
8はホルモンの産生を遅れさせないために。
9~12は精子は熱に弱いので体温調整。
13は細胞分裂の阻害防止のため。
14.15は刺激を与え、精子を活性化。
16は血液の流れをよくします。
17.18は性欲減退を防止するためです。
できることから始めて、精子の質の改善を目指しましょう。
男性が行う不妊治療の方法
1匹でも元気な精子がいれば、顕微授精などが可能です。
射精した精液の中に精子が見つけられない場合や、精子は作られているけれど、精路がつまって出てくることができない場合には、手術も必要になります。
具体的な男性の不妊治療をご紹介します。
精子採取術
精巣精子採取術といって、陰嚢の皮膚を小さく切開し、精巣組織の一部を採取する方法です。非閉塞性無精子症の場合には、精巣内での精子形成が障害されていることが多いため、陰嚢の皮膚切開から精巣組織の中から、精子を探し出します。この方法を用いても、残念ながら精子をみつけられないこともあります。
精路再建手術
精子の通り道である精路に閉塞がある場合には、その部分を取り除いて、精子が通れるようにする手術があります。つまりを取り除いてしまえば、自然妊娠も期待できます。
男性が不妊治療を受ける時に気を付けることは、手術の際は麻酔をかけますが、数日痛みが伴うということも考えられますので、できれば翌日は休みの日を選んだ方が良いかもしれません。
まとめ
男性不妊について妊活の方法や、不妊治療の内容についてご紹介しました。精液所見は、禁欲期間、体調、採取環境によって異なります。そのため数回の検査が必要になります。精液の検査で精子が一匹もいなかったとしても、精子採取術を行うことで精子を獲得して妊娠を目指すことができます。もし、男性側に全く問題がなかったとしても、不妊治療は女性にとって心身ともに大きな負担となります。2人の問題としてとらえて、心のケアを忘れないようにしてください。
はらメディカルクリニック「不妊症の原因について」
https://www.haramedical.or.jp/content/about-infertility/cause
日本メンズヘルス医学会「メンズヘルスコラム」
https://www.mens-health.jp/364
リプロダクションクリニック東京「男性不妊治療」
http://www.reptokyo.jp/medical/medical05.html
はらメディカルクリニック創設者、原利夫先生「クレア」取材記事より