2022年04月13日
精子の凍結保存とは?不妊治療での利用方法と注意点
精子や卵子、また受精卵は凍結保存ができることをご存じでしょうか。
今回は、精子の凍結保存について、不妊治療においての利用方法と注意点を中心にご紹介していきます。パートナーと時間が合わない、事情があり離れて生活している、また活動的な精子が少ない時などに精子の凍結が不妊治療の成功率を上げる手助けをしてくれます。
■精子凍結とは? 基礎知識と凍結の流れ
精子凍結は、マイナス196度で凍結した精子を保存することを指します。安全性は医学的に保証されていて、半永久的に保存しておくことが可能です。また、精子凍結はパートナーのいる男性だけでなく、未婚で今すぐに不妊治療が必要でない時にも行うことができます。
精子の採取方法はマスターベーションにより、指定の容器に全量採取します。
自宅で採取した場合には人肌程度の温度を意識して、院内に持ち込むようにしてください。また、病院内にメンズルームなど採取できる部屋がある場合には、より新鮮な状態で精子の提出が可能です。
精液検査により運動精子が少ないと判断された場合には、手術で睾丸から精子を摘出することもできます。手術と排卵のタイミングがずれる場合にも精子凍結が有効であり、また、何度も手術を行うことなく不妊治療を進めることが可能になります。
■精子凍結に必要な検査とその意義
精子凍結を行う場合には、まず精液の中に活動的な精子が存在しているか確認するために精液検査を行う必要があります。精液が多くても、精子が存在していなければ妊娠に至ることは難しく、精子凍結を行うことは困難です。
また、活動的な精子が少ない場合にも、運動率の良い精子を選んで凍結しておくことが可能なので、質の良い精子を凍結保存することができます。
精子検査の基準値は以下、WHOの精液検査の基準値を参考にしてください。
精液検査 | 基準値 |
---|---|
精液量 | 1.4ml以上 |
精子濃度 | 1600万/ml以上 |
運動率 | 42%以上 |
正常形態率 | 4%以上 |
■精子凍結を行うタイミングは? 治療計画の立て方
パートナーが居て、不妊治療を行う場合にはまず精液検査は早めに行うことをおすすめします。タイミングとしては、女性が通院を始めたら同時期に検査を行いましょう。不妊の原因がわかれば早く対策を行うことができ、早い治療終了、つまり妊娠へとつながります。
凍結した精子は、人工授精や体外授精、顕微授精に使用することができます。そうした治療を希望するのであれば実施前に精子を凍結しておくことが可能です。
パートナーの居ない未婚男性の場合にも、仕事の職種により将来の精子形成障害のリスクがある場合など、精子の凍結を行うことができます。
卵子に比べると精子の方が年齢の影響を受けにくいので、加齢を理由とした精子凍結を考えているのであれば必ずしも有効とは限らないので注意して、担当医師とよく相談してください。
■MTF前に精子凍結も可能
実施については医療機関へ確認が必要ですが、MTFの方が精子を凍結しておくことも可能です。MTFは「男性から女性へ(male to female)」という意味があり、女性ホルモンの投与により男性機能が低下する前に精子を凍結しておけば、将来女性のパートナーとの間に子供を望むことができます。
恋愛対象が女性であるか男性であるかに関わらず、将来自分の遺伝子を持つ子供を授かることを諦めないための選択肢になります。すでに女性ホルモンの投与を行っている場合にも精液検査の結果次第では凍結を希望することができ、選択の幅を狭めないで性別を選ぶことができるでしょう。
まとめ
不妊治療において、精子凍結が有効であることがご理解いただけたかと思います。女性側が全ての検査を終えて、タイミング法を一定期間試みてから、ようやく精液検査を行うという男性も未だに少なくありません。パートナー間で不妊を疑ったのなら、女性が通院するのと同時期にまずは精液検査を行ってください。その後、精子凍結が必要であれば、医師と相談しながら適切な治療を行うようにしましょう。
精子凍結は、きっと不妊治療のゴールへの近道となってくれるでしょう。
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