精子と卵子の凍結保存、どちらが適している?


妊娠するためには、精子と卵子の両方が必ず必要になりますが、その両方を凍結保存することができます。精子と卵子を別々に凍結、もしくは精子と卵子を受精させて受精卵として凍結することも可能です。
精子と卵子を別々に凍結した場合には、解凍後、受精させて子宮に戻すことで妊娠を目指します。受精卵の場合には、すでに受精しているので、解凍後そのまま子宮に戻すため、別々に凍結するよりも妊娠率が高いとされています。
精子と卵子をそれぞれに凍結する場合、どちらが凍結保存に適しているのでしょうか。凍結方法やその目的についても考えていきます。

■精子と卵子の凍結、どちらが適している?
・精子凍結
精子を凍結するパターンとしては、運動精子の数が少なく、精巣内精子採取術などで精子を採取した場合や、出張などで精子が必要なタイミングで採取できない場合などがあります。
精子については、卵子ほど年齢の影響を受けにくいので、独身の男性が将来のために採取して凍結しておくことはあまりありません。
近年では男性が性転換を考えて、将来自分の遺伝子を持つ子供を授かる可能性を残すために精子凍結を行うこともあります。

・卵子凍結
一方卵子は年齢の影響を受けやすく、女性は生まれた時が一番卵子の数が多く、減った卵子は増えることはありません。質についても30代半ばから妊娠率が大きく下がり、流産率が上がります。そのため卵子凍結はパートナーがいない独身女性が若いうちに卵子を採取するケースが多いです。パートナーがいる場合には精子と受精させ、受精卵にしてから凍結した方が妊娠率が高いとされています。

・凍結するなら精子?卵子?
精子も卵子もどちらも同じ条件で凍結することができますが、精子は質に問題のない方ならマスターベーションによっていつでも採取が可能ですが、卵子は月経周期が関係し、卵巣から採取する必要があります。不妊治療は女性の周期に大きく左右され、全身麻酔を行う場合もあり、精子の凍結と比べると費用もかかります。
これにより、パートナーがいて、どちらかを凍結するのであれば精子の凍結がおすすめです。
凍結した精子は体外受精だけでなく、解凍後に人工授精に使用することもできます。

■精子と卵子の凍結の手続きと流れの違い
・精子凍結の流れ
精液の採取は院内採精または自宅採取を行います。
精液の処理がスムーズにいくように、10~30分常温におくことでサラサラの状態にします。
遠心分離をすることにより、死精子や不純物(細胞・血球系)を除去して、高比重である良質な精子のみを回収します。
凍結のダメージより精子を守る専用の凍結保存液と混和して凍結保存チューブに移動させます。液体窒素の冷気で冷却することにより精子へのダメージを軽減します。
-196℃の液体窒素で凍結された精子は理論上、半永久に保存が出来ます。

・卵子凍結の流れ
採卵の流れは、排卵誘発を行い、月経周期に合わせスケジュールを組み、卵巣から卵子を採取します。誘発を行うことで、通常1つしか育たない卵子を複数育てることも可能です。
未受精卵を凍結した場合には、解凍後に精子と受精させて移植となります。
受精卵凍結はコンベンショナルIVFか顕微授精の2種類から選ぶことができますが、未受精卵を凍結した場合には顕微授精により治療を進めることになります。

■精子と卵子、凍結による影響は?

精子も卵子も同じ方法で凍結しますが、凍結の時より影響を受けるのが解凍時です。不妊治療においては、解凍ではなく融解と呼びますが、この融解時に精子、卵子の質を下げてしまいます。どちらも同じように影響を受けてしまうので、特卵子については複数個、採卵をすることでリスクヘッジをする必要があるでしょう。

■凍結した精子・卵子の保存期間と保存方法の注意点
精子も卵子も-196℃の液体窒素で凍結されます。どちらも凍結していないものと凍結したものを比較すると、凍結した方が質が下がり、妊娠率が低下します。
しかし、数を多く凍結することによってリスクを最小限にとどめることができるでしょう。
保存期間については、医療機関ごとに設定されていますが、1年ごとに更新ができる場合が多く、追加で料金が発生します。
破棄の年齢が決まっていることもあるので確認してください。

■まとめ
精子と卵子の凍結はどちらが適しているかについてご紹介しましたが、精子は卵子のタイミングに合わせて採取が難しい場合には凍結も有効です。一方で卵子については、パートナーがいる場合には未受精卵として凍結させるメリットはあまりないかもしれません。
しかし、未婚女性が将来子供を持つ可能性を残すために、卵子を凍結させておくことは今後選択する方が増えるかもしれませんね。
それぞれの凍結について目的が違うことがおわかりいただけたかと思います。
例外ももちろんありますので、まずはご自身の精子や卵子を知るための検査を受けてみると良いのではないでしょうか。

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