顕微授精の限界②~黒田IMRの技術~

動画内容書き起こし

刀禰:そんな中で先生は どういうアプローチで?顕微授精は結局されているのですか、先生のクリニックでは。それとも最終的に ふりかけることが中心になるのですか。

黒田先生:私のやり方は、ライフワークが臨床精子学というのもありますので、具体的に何を研究してきたかと申しますと、この『不妊治療に用いる精子の品質管理』ですね。「いかに安全な精子を分離精製するか」という技術開発、なおかつ「分離精製していく精子に対して本当に安全か」ということを見極めるための評価法ですね。
いわゆる精密検査技術の開発とか。
あと実際今おっしゃられたように、顕微授精というものは卵子に穴が開くという意味では、厳しい視点で申し上げれば 卵子を傷つけるわけですから、そういった意味でも しないで済めばしない方が自然に近い命の導きになりますので、なるべく私の方針とすれば品質の高い精子を分離精製する技術がこちらにもあります。
それをもって「選んだ、要はブレインな精子たちに対して限られた卵子の表面積ではあるけれども そのブレインが当たる確率を高くするような環境構築をして体外受精で自然に近い形の手法で受精に導く」というようなやり方を主にしております。

いくらいい精子を選んでも、生殖医療というのは細胞生物学になりますので、うちでは その全体からいい精子を高い技術で選び抜くという技術は持っていますけど、パーフェクトに全部完璧な精子として選び抜くみたいな形というのは細胞生物学においては無理なんですね。
どうしてもロシアンルーレットの原理でいけば、10個ピストルの弾があって9個はピストルの弾はなくても、一つはどうしてもどこか弾が当たるという。
いい精子とそうではない精子とを分離精製する技術開発の原理は、精子の比重の違い・体重の違いで分けますので、どうしても微妙な体重差の精子というのは いい方に悪い精子も混じってきてしまいますから、やはり運が悪ければ 問題のある精子を顕微授精に用いてしまうというリスクは うちの技術をもってもありますので。
高品質の精子をかなり純度高きに選ぶ技術をもって最終的に やはり受精に用いる精子の数を極力少なくできる微小環境の体外受精で自然受精に成功させるというところで、何段階においてもなるべく安全性のカットオフ値を上げて命の導きをするという治療方針を主にやっていますね。

顕微授精を絶対に反対ということではないんですよ。
ただ安全に顕微授精を行って安全な命を導くためには、やはり1匹の精子の選定の、その品質管理というのをしっかりやれていない状態の現行の顕微授精にはリスクは どうしても残ってしまうので、そこの部分は慎重に取り扱うという意識を持っていただく知識を皆さんに共有していただきたいというふうに思っております。

:ありがとうございます。そんな、『男性不妊の原因』ってなんなんだろうとか、『治療法』はあるのかとか、気になることがたくさんあるんですけれども、また次回で お伺いしたいと思います。引き続き よろしくお願いいたします。

黒田先生:ありがとうございました。

刀禰:ありがとうございます。

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