【中部版】不妊治療に関する助成金リンク集|保険診療と自由診療の併用はできる?

記事の要約

2022年(令和4年)4月より、一部の不妊治療が保険適用となり、これまで実施していた特定不妊治療の助成金制度が廃止となります。2022年(令和4年)3月31日までに開始している治療については、1回に限り助成金の対象とする経過措置を受けることができるため、期限内に忘れずに申請しましょう。

また、県によっては4月以降に開始した治療に関しても県独自の助成を行っているところがありますので要チェックです。

今回は、中部地方の各自治体ごとの不妊治療助成金の要件とリンクをまとめました。あわせて注意したい点や公的保険との併用はできるのかなどについても解説しています。

特定不妊治療費助成制度|不妊治療の助成制度とは?

不妊治療はこれまで自費治療となっていたため、妊娠まで治療を継続するにあたって経済的な負担が大きくなりがちでした。

そのため高額になりがちな不妊治療の費用の一部を助成する制度として「特定不妊治療費助成制度」が誕生したのです。ただし、不妊治療を受ける全ての方が対象になるわけではなく、以下のような要件が定められています。
〇対象となる治療法
体外受精、顕微授精

〇対象者
・タイミング法や人工授精では妊娠の見込みがない、または極めて少ないと医師に診断された夫婦(事実婚含む)
・治療期間の初日の妻の年齢が43歳未満

〇給付の内容
・1回30万円(ただし、採卵を行わない凍結肺移植、採卵下が卵を得られず中止した場合は1回10万円)
・40歳未満では通算6回、40歳以上43歳未満は通算3回まで(1子ごと)
・男性不妊治療の場合30万円

〇その他
・指定医療機関のみ対象
・所得制限なし

特定不妊治療費助成制度の注意点|保険診療との併用は可能?

2022年(令和4年)より一部の不妊治療が保険適用となったことで、これまで実施されていた「特定不妊治療費助成制度」は廃止となります。

治療のために、2022(令和4)年3月末までに治療を開始しており、年度をまたぐ一連の治療については1回に限り助成の対象となりますが、2022年(令和4年)4月以降に開始した治療については対象外です。

しかし、2022年(令和4年)までに体外受精・顕微授精での凍結胚を用いて、自然周期・ホルモン補充周期で移植を行う場合は、1回に限り助成の対象となります(※いずれも上限回数を超えていない場合のみ)。

また、4月から保険適用開始となった不妊治療は、全ての治療が保険診療の対象ではありません。使用する薬剤や検査などによって現在も自費診療で治療を行っているものもあります。

希望する治療法の一部が自由診療となる場合、保険診療との混合診療は現時点では認められていません。そのため、本来保険診療となる治療でも、自費診療を含む治療があれば全て自費となる点には注意が必要です。

いずれも各自治体の助成要件を確認し、不明点は治療を受けているクリニックに確認することが大切です。

各都道府県別の不妊治療助成金の要件

ここからは中部地方の各自治体の不妊治療助成金制度の要件を紹介します。地域ごとに申請期限が異なります。また、同県でも市区町村によって、準備する申請書類などが異なる場合がありますので、お住まいの自治体の情報をよく確認しておきましょう。

新潟県の特定不妊治療費助成事業

〇対象治療
・体外受精、顕微授精の特定不妊治療
・2022年(令和4年)3月31日以前に受精胚にした凍結胚の移植

〇対象期間
・治療期間の初日が2022年(令和4年)3月31日以前で、2022年(令和4年)4月1日以降に終了したもの
・2022年(令和4年)3月31日以前に受精胚にした凍結胚を2022年(令和4年)4月以降に移植したもの

〇申請期限
・申請窓口に提出する場合、2023年(令和5年)3月31日(金)まで
・郵送の場合は、2023年(令和5年)3月31日消印有効
・2023年(令和5年)2~3月に治療が終了し、原則の期限までに申請できない場合は、あらかじめ連絡の上、同年4月28日(金)までに申請

新潟県不妊に悩む方への特定治療支援事業のご案内|新潟県

山梨県の特定不妊治療費助成事業

〇対象治療
・体外受精、顕微授精の特定不妊治療
・男性不妊治療
・2022年(令和4年)3月31日以前に受精胚にした凍結胚の移植

〇対象期間
・治療期間の初日が令和4年3月31日以前であり、令和4年4月1日から令和5年3月31日までに終了した治療

〇申請期限
・2023年(令和5年)3月31日までに申請

山梨県は、特定不妊治療と併せて申請することで「男性不妊治療」についても上乗せで助成してくれます。申請要件はありますが、一定の条件を満たすことで別途30万円の助成を受けることができます。

特定不妊治療と合わせると60万円の助成を受けることができるため、該当する方は要項をよく確認しましょう。

不妊に悩む方への特定治療支援事業(不妊治療の保険適用への円滑な移行支援分)|山梨県

静岡県の特定不妊治療費助成事業

〇対象治療
・配偶者間の特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)
・保険適用外で実施した治療

〇対象期間
・1回の治療の開始が2022年(令和4年)3月31日以前であり、2022年(令和4年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日までの間に終了したもの

〇申請期限
・治療終了日の属する年度内に申請書等を提出
・治療終了日が2023年(令和5年)1~3月の場合、治療終了日から90日以内に申請

特定不妊治療費助成制度のご案内|静岡県

長野県の特定不妊治療費助成事業

〇対象治療
・体外受精、顕微授精の特定不妊治療

〇対象期間
・1回の治療の開始が2022年(令和4年)3月31日以前であり、2022年(令和4年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日までの間に終了したもの

〇申請期限
・2023年(令和5年)3月31日

令和4年度不妊に悩む方への特定治療支援事業について|長野県

岐阜県の特定不妊治療費助成事業

〇対象治療
・指定医療機関で受けた特定不妊治療 (体外受精及び顕微授精)
※第三者による精子・卵子・胚の不妊治療、代理母、借り腹は不可
・男性不妊治療

〇対象期間
・1回の治療の開始が2022年(令和4年)3月31日以前であり、2022年(令和4年)4月1日から2023年(令和5年)3月31日までの間に終了したもの

〇申請期限
・2023年(令和5年)3月31日までに申請(※4月10日までの延長措置あり)

岐阜県特定不妊治療費助成事業手続き案内|岐阜県

愛知県の特定不妊治療費助成事業

〇対象治療
・愛知県または他の自治体の指定医療機関で受けた特定不妊治療(体外受精・顕微授精)
・入院料(入院基本料、食事療養費標準負担額、個室料等)、文書料など、治療に直接関係しない費用は対象外

〇対象期間
・1回の治療の開始が2022年(令和4年)3月31日以前であり、終了が2022年(令和4年)3月末までの保険適用外で実施した治療

〇申請期限
・「1回の治療」が終了した日に属する年度末(3月末)まで
・治療終了日が2023年(令和5年)2月・3月の場合は2023年(令和5年)5月31日まで

特定不妊治療費助成制度|愛知県

富山県の特定不妊治療費助成事業

〇対象治療
・指定医療機関で受けた特定不妊治療 (体外受精及び顕微授精)
・男性不妊治療

〇対象期間
・1回の治療の開始が2022年(令和4年)3月31日以前であり、終了が2022年(令和4年)3月末までの保険適用外で実施した治療

〇申請期限
・2023年(令和5年)3月31日までに申請
富山県特定不妊治療費助成事業について(不妊治療の保険適用に伴う経過措置)|富山県

また富山県では、2022年(令和4年)4月以降に実施した特定不妊治療のうち、治療の開始時の妻の年齢が40歳未満であれば、保険適用外となる通算7回目以降の治療に対して助成を実施する独自の制度を設けています。

年度内3回までで、夫婦1組に対して1回の治療につき30万円を限度に助成してくれます。詳しい詳細は以下リンクからご確認ください。

富山県特定不妊治療費助成事業について(令和4年4月から)|富山県

石川県の特定不妊治療費助成事業

〇対象治療
・体外受精、顕微授精の特定不妊治療
・特定不妊治療の一環として行った、精子を精巣又は精巣上体から採取する手術(男性不妊治療)

〇対象期間
・治療期間の初日が令和4年3月31日以前であり、令和4年4月1日から令和5年3月31日までの間に終了するもの

〇申請期限
・治療を終了した日の属する年度内に申請
・3月に治療が終了するなどで、年度内に提出できない場合は、年度内に事前にご連絡があった場合のみ、4月に申請を受理

特定不妊治療への助成(経過措置)|石川県

福井県の特定不妊治療費助成事業

〇対象治療
・指定医療機関で受けた特定不妊治療 (体外受精及び顕微授精)
・男性不妊治療

〇対象期間
・治療期間の初日が令和4年3月31日以前であり、令和4年4月1日から令和5年3月31日までの間に終了するもの

〇申請期限
・2023年(令和5年)3月31日までに申請

特定不妊治療費助成の申請をされる方へ|福井県

また福井県では、2022年(令和4年)4月から不妊治療が保険適用となったことを踏まえ、県独自の特定不妊治療費助成制度について、助成限度額の引上げが行われています。

医療保険の適用回数終了後の治療を対象として、1回あたりの助成が35万円となっています。詳しくは、上記リンクから要件をご確認ください。

まとめ

今年から始まった一部不妊治療の保険適用により、これまで実施されていた特定不妊治療の助成制度が廃止となります。自治体によっては県独自の助成制度もあり、より経済的な負担を緩和できるようになっています。

申請期間や申請書類などが異なるため、今回紹介した各自治体のリンク先を確認の上、漏れがないように申請しましょう。

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