経口避妊薬の正しい考え方

動画内容書き起こし

吉村先生:月経というのは1ヶ月に1回程度起こると言いましたけれども、ピルなんか飲みますとね、周期的な飲み方をすれば1ヶ月に1回ずつ規則正しく月経が起こります。月経の痛みがまずなくなります。

刀禰:ピル飲むと初歩的なことですけど月経が起こらなくなるんですか?

吉村先生:いや違います。周期的な投与法、一般的に日本人の方々が飲まれている方法は1ヶ月に1回ずつ月経を起こす、まず月経量は半分から3分の1ぐらいに減ります。出る血の量ですね。
それから痛みがある人なんかもほとんど痛みがなくなります。これまでは周期的な投与法が多かったのですが、海外では2000年ぐらいからこういったピルを休薬期間をおかないで何ヶ月もピルを連続して飲む方法が一般的になっています。その期間、月経がないという投与法を連続投与法といいます。
周期投与法と連続投与法というのがあって、連続投与法を実施している国が多くなってきています。
なぜ連続投与法かというと、周期投与法では月経が起こりますよね。そのときにやっぱり痛みを少し訴える人がいるんです。
月経がなければ、痛みませんので連続投与していると快適だという方が多くて、欧米はピルユーザーの7割から8割に浸透しています。

刀禰:7割8割の方がピルを飲んでいるということですか?

吉村先生:半数くらいの女性がピルを飲んでいて、その7~8割が連続投与を選択しているということです。ですから海外の新しい考え方としては、月経は起こさなくてもいいというものです。
昔から血が出て汚いものが出ないといけないんじゃないかと言われていました。それはまったく違うんですね。なぜ月経が起こるかということを考えると、妊娠しなかったから残念ながら月経が起こったということです。月経は必ずしも起こす必要がないものであり、月経がなければ、女性にとってQOLが非常に良く保たれるといったことから、海外では連続投与法が主流になっているといえます。

刀禰:月経を起こさないためにピルを飲むという話だったと思うんですけど、ピルを飲むとやはり妊娠はできなくなるんですよね?

吉村先生:もちろんそうですね。
今いい質問されたんですけどピルというのはもともとは日本語でいうと経口避妊薬というものですね、妊娠しないためにピルを飲む。

刀禰:そういうイメージの方がまだ多いと思います。

吉村先生:ところがね、今の若い人たちが飲んでいる人たちを見ると、8割は避妊のために飲んでおられないんですよ。QOLを良くするために、出血量を減らして痛みを取るためにピルを飲んでいる人が8割、2割ぐらいが避妊のために飲んでいるんです。
ピルというと副作用が心配だとか血栓症とかそのようなことを言いますよね。
だから副作用を怖いといって、なかなか日本ではピルが広まらないんですね。性成熟期にある女性の3%〜5%ぐらいしか飲んでないんですけど、海外では40%とか60%ぐらい飲んでいる国もあります。
それがなかなか日本で広まらないのは、ホルモン剤だから血栓症を起こすから怖いという人が多いのですが、血栓症の副作用というのは極めて少ないのですよ。
例えばタバコをのんで血栓症を起こす人の割合の方が100倍以上高いですね。ピルのリスクは低いというふうに考えてくださって結構です。
副作用じゃなくてピルに関しては副効用という言葉があるんですよ。そもそもピルというのは避妊のためにできたお薬なんですけど、そういう作用以外に月経痛を取ったり出血量を減らしたりする、そういった効用があるということで、ピルでは副効用という言葉も使われるんです。

刀禰:そうなんですね。イメージ的にいうとやっぱり望まない妊娠をしないためにみたいなところがあったんですけど、副効用もあるんですね。

吉村先生:刀禰さんみたいな考え方する人が多くてね、例えば学校、高校の先生なんかが女の子が「私ピルを飲んでます。」と言うと「避妊のために飲んでいるのか?」というような先生もまだいるんです。

刀禰:いそうですね…

吉村先生:自分のQOLを高めるために例えば水泳をするとかそれから受験のシーズンもありますよね?
医学部の受験の予備校みたいなところは半年ぐらい前から試験に合わせてピルを使用するというようなこともやっている予備校もあるんですよ。
そういったことってすごく大事なことで、私の子どもは12歳くらいから月経が起こったんですけど、13歳ぐらいからすごい痛みに苦しんだんですよ。月経痛に出血量も多くて困ったので15歳ぐらいからずっとピルを服用させたんです。
それはすごい良かったと思いますし結婚も遅くて35歳で結婚したんですけど、35歳でピルをパッとやめたら即妊娠しました。
今や若い女の子たちが僕はいつも言うんですけど、月経が開始し1、2回起こることが分かったらすぐにピルを飲んだ方がいいと思います。
やはりQOLを高めるということが、すごい大事なことで、パフォーマンスも上がります。だからヨーロッパのスポーツ選手なんかはほとんど産婦人科医が指導してピルを服用していると思いますね。

刀禰:そうなんですね、お子さんの話も可能な範囲で教えてもらえばと思うんですけど月経の数をおさえれば妊娠しやすいものなんですか?

吉村先生:一般的にちゃんと月経周期を整えた方が妊娠はしやすいと思います。
ピルを服用することにより色んな病気が予防できてます。
例えば私の子どもなんかも内診もしたこともなかったし何もしないでピルをずっと投与していたわけですよ。妊娠して診察したら、卵巣に小さなチョコレートのう胞がありました。
13歳や14歳の時には内診していませんし、超音波でも見てませんのでわからなかったんですけど、35歳の時にチョコレート嚢胞があったということは、ピルを飲まないでずっと放っておいて学校を休ませながら行かせていたら、ひどい子宮内膜症になっていたんじゃないでしょうか。こうした子宮内膜症を予防することもできるわけです。月経というのはコントロール下に置く、これが大事なことなのです。
月経というのは、起きている時は規則正しく起こることが大事ですけど、必ずしも起こす必要はまったくない、月経がなくても何の心配もないというように考えてもらって結構ですね。

刀禰:月経について深く知る機会になりましたので先生どうもありがとうございました。

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