男性の不妊治療の現実①~精子異常について~

動画内容書き起こし

:皆さん、こんにちは。本日は引き続き、黒田優佳子先生にお話を伺ってまいります。先生、よろしくお願いいたします。

黒田先生:よろしくお願いいたします。

刀禰:そもそも男性不妊というのは、あまり耳慣れしないような言葉なのではないかなというふうに思うのですが、そもそも僕らも不妊治療を少し勉強していくと、やはり女性だけじゃなく男性も半分くらい要因があるというような話なのですが。というのは、よくメディアなどで出てきていたり、30年前と比べると 男性の精子の量だったり 活発度合いも減少傾向みたいなのは。

:お聞きしますよね。

刀禰:何となく耳にしたことはあるんですけれども、実際どうなんですか。

黒田先生:おっしゃる通り、不妊になる原因の約半数は男性側に原因がある『男性不妊』になるんですね。ただ、いまだに世の中の男性群は「赤ちゃんがなかなかできない」「不妊であるかもしれない」となりますと、女性側の問題ではないかというふうに思っている方も多いのも事実ですが、実際は、男性側の不妊原因も男女半々で比率は高いので、男性の方も「赤ちゃんがなかなかできないな」という時には「もしかしたら自身に何か問題があるのかもしれない?」というような意識を持っていただくように、まずなっていただくことが大事ですね。

刀禰:余談なんですけど、男性はなんでそんな風に、女性のみだと思ってしまうのでしょうか。

黒田先生:日本の歴史的な背景があるかもしれませんが。一昔前はね、なかなか赤ちゃんができないと、女性は御里に帰されてしまって、やはり秘め事のような時代もありましたよね。ですから、何となくできないのは女性が問題なんだ、というようなイメージが定着しているというのが。

刀禰:科学的なエビデンスとか、そういう話ではなく、何となくという感じなんですね。

黒田先生:でも実際は、男性不妊の全体の約9割が精子側に何らかの問題があるという『精子異常』が原因になっている場合がほとんどなんですね。

刀禰:精子異常ですか。

黒田先生:そうですね。ですので 今最初にお話しいただいたように、精子が ちょっと問題があるかも?というお話になると、「精子の数が少ない」とか「活発度が低い」というようなお話は出ますけれども、見た目ももちろん大事ですけれども、一番、精子異常で不妊治療における臨床上で大きな問題になるのは、見た目だけではなくて「見えない部分」ですね。

刀禰:見えない部分なんですね。

黒田先生:中に奥に隠れ潜んでいるいろいろな異常というものがありまして、それを『隠れ精子異常』というふうに私は申しているんですけど、なかなかそれが厄介者なんですよね。

:というのは、普通に性行為もできているし、顕微鏡で見ても精子が泳いでいる、だけれども それを調べてみると、そこの中に問題があるということですかね。それはわからないですもんね。

黒田先生:そうなんです。世の中一般の精子に関する情報というのは、正直ちょっと曖昧というか不正確であるものも溢れておりまして。見た目が 精子がいっぱいあって運動性も高くて顕微鏡所見としては完璧な精子でも、特別な顕微鏡で中を透視して解析することによって さまざまな異常が見えてくるという場合はあります。

刀禰:それはわからないですね。毎回ね、最初にとるのが運動率とか、量とか、とりあえず問題がありません、みたいなこと言われちゃうと問題ないのかなと思ってしまう。

黒田先生:そこの部分があまりに広まっていない、知られていないというところもありますので。男性の方が妊活を考えたらですね、今の繰り返しになりますけど、不妊の原因の半分は男性側であって、その9割近くが精子に問題がある精子異常で、しかも見た目だけでわからない中に隠れた異常というものが実際不妊治療においては大変足を引っ張りますので。
そこをよく詳細に調べることができる精密検査を まず最初に受けていただくというのが「一番上手な妊活法、効率のいい妊活法」になりますので、ぜひとも『精子に着眼した妊活』というところは、男性の方に広く知っていただきたいと思います。

刀禰:今、初めて知りました。運動率がいいとか、どうしても思い込んでしまうんですね、問題ないというふうに。

黒田先生:そういうふうに言われてしまっていますからね。

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