2022年04月13日
男性不妊症とは?検査や治療方法について
男性不妊とは、妊娠に至らない原因が男性にある場合を指します。
以前は、不妊の原因は女性にあると考えられていましたが、男性不妊症という言葉を耳にすることも増えてきました。では、男性不妊症とは具体的にどういったことを指すのでしょうか。検査や治療の方法についてご紹介します。
男性不妊とは?男性不妊症の定義
妊活を始めて、1年間経っても自然妊娠に至らない状態を不妊症と言います。その中で、妊娠に至らない原因が男性側にある場合が男性不妊とされています。男性不妊の割合は、女性に原因がある場合と割合は大きく変わりません。
男性不妊の種類
男性不妊には「造精機能障害による不妊」と「造精機能障害以外の不妊」の大きく分けて2種類があります。造精機能障害にもいくつか種類がありますので、その他の男性不妊の原因と合わせてご紹介します。
造精機能障害
造精機能障害とは、精子を作り出す機能に問題があり、正しく精子を作れない状態のことを指します。造精機能障害は男性不妊の8~9割を占めると言われており、精索静脈瘤、無精子症、乏精子症、精子無力症などがあります。
- 精索静脈瘤
精索静脈瘤とは、精巣やその上の精索部に静脈瘤(静脈の拡張)が認められる症状です。精索静脈瘤は手術により精子所見の改善が期待できます。
こぶなどの腫れものができると、血液が停滞し、精巣の温度が上昇してしまい、熱に弱い精子に悪い影響を与えることになります。 - 無精子症
無精子症には「閉塞性」と「非閉塞性」があります。閉塞性無精子症は、精子は作られているものの、精管が詰まって精子が出てこない状態です。顕微鏡下精巣内精子採取術(TESE)を行い、精子を獲得できた場合は顕微授精を行うことができます。
一方で、非閉塞性無精子症は精子が作られていない状態のことを指します。手術を行っても精子を発見できなかった場合には治療は難しくなります。 - 乏精子症
乏精子症は精液の中の精子が少ない状態です。 - 精子無力症
精子無力症とは、精子は存在するものの運動状態が悪いことを指します。
乏精子症と精子無力症は両方を合併することもあり、どちらも精索静脈瘤が原因であることもあります。
精索静脈瘤の治療
精索静脈瘤は、視診・触診による診察することができます。治療については手術を行うことで、改善が目指せます。手術にはさまざまな方法があるので、合併症のリスクや再発率などを比較して適した手術方法を選ぶ必要があります。
造精機能障害以外の種類
造精機能障害以外にも男性不妊の原因はあり、多くはEDが考えられます。不妊治療を行う際のタイミング法で、EDになってしまうこともあり、ED治療薬で改善が見込めます。
腟内射精できない、腟内射精障害の場合にはカップに射精して人工授精などで腟内に注入することも可能です。精子が作られているのであれば、妊娠に関して大きな心配は必要ないでしょう。
検査の方法と治療方法
男性不妊について、最初に行うべき検査は精液検査です。
精液検査は、カップなど決められた容器に精液を採取して行う検査なので、特に痛みなどは伴わず簡単です。不妊治療のスタートに立ったら女性の検査と同時に行うべき検査です。
精液は見た目では精子の数が分からないもので、性欲とは関係しません。
下記の基準値よりも数値が下回る場合には男性不妊に該当すると考えて良いでしょう。
精液検査 | 基準値 |
精液量 | 1.5ml以上 |
精子濃度 | 1500万/ml以上 |
総運動率 | 40%以上 |
総精子数 | 3900万/射精以上 |
正常形態率 | 4%以上 |
総運動精子数によって、推奨される不妊治療があります。
基準をクリアしていれば自然妊娠の可能性が充分にありますが、数値を下回る場合には人工授精、体外受精、顕微授精とステップが用意されています。精巣内精子採取術(TESE)により精子が獲得できれば妊娠の可能性が充分にありますので悲観する必要はありません。
数値に問題がなくても通常の夫婦生活を送り1年間妊娠に至らない場合には不妊治療を考えましょう。
質の良い精子のためにできること
生活習慣で数値の改善を目指しましょう。
- 食事内容を改善する
不健康な食生活を送っている自覚があるのなら、バランスの良い食事を心掛けましょう。 - 良質な睡眠
睡眠不足は精子にとってよくありません。疲れも大敵なのでしっかりと休む時間をとりましょう。 - 適度な運動で肥満を回避
肥満も精子の質を落とす原因となります。座りっぱなしもよくないので、適度な運動が必要です。 - 禁煙、適度なお酒の量
タバコは精子の質を落とす原因となります。アルコールの多量摂取はEDを引きおこす原因にもなるため気をつけましょう。 - 締め付けの少ない下着
下着はトランクスやボクサーよりも締め付けの少ないトランクスがおすすめです。睾丸を温めるのもよくないので、長時間の入浴やサウナにも気をつけましょう。
まとめ
男性不妊の検査や治療方法についてご紹介しました。男性不妊の原因の多くは造精機能障害ですが、EDや射精障害なども考えられます。精液検査で精子が見つけられない場合でも、精巣内精子採取術(TESE)により精子を獲得できることもあり、検査結果がよくなくても落ち込まないでください。正しいステップを踏んで、妊娠、出産を目指しましょう。
生殖医療の必修知識2020,日本生殖医学会編エス・セットクリニック
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銀座リプロ外科 コラム
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