精子・卵子の凍結保存に関する相談窓口、支援制度などについて解説
精子・卵子を凍結保存したいと考えた時に、どういったところに相談したら良いのか、独身の女性が卵子凍結を考えた場合に、突然医療機関を受診していいものか、また病院選びなどわからないことも多いでしょう。
相談窓口や支援制度について知っておくと、実際に精子や卵子を凍結保存したいと考えた時に役立つはずです。
■精子や卵子の凍結保存に関する相談窓口の種類と特徴
精子や卵子の凍結保存を行うために、まずはどこに相談したら良いでしょうか。精子の場合と卵子(未受精卵)の場合、また受精卵の凍結を希望する場合にも相談窓口が変わってくるでしょう。
・精子
精子の凍結を希望される方の多くはパートナーがいて、不妊治療を考えているケースだと思います。精子を凍結するにはまず、精液検査が必要です。精子の凍結は専門の設備がないと行うことができませんが、精液検査は最寄りの婦人科などでも行うことができます。
また、泌尿器科でも精液検査を行っているので、パートナーがいない場合や婦人科に行きにくいのであれば、最初の窓口は泌尿器科でも良いでしょう。
・卵子(未受精卵)
未受精卵の凍結を考えるのは、多くの場合パートナーのいない独身女性かと思います。窓口として最寄りの婦人科に相談しても良いのですが、高度不妊治療を行う病院と提携しているところならば、凍結の先にある受精・移植という工程が必要になった時にも安心です。
最初から高度不妊治療を行う専門クリニックを受診したい場合には、未受精卵の凍結が行えるか確認する必要があります。
・受精卵
受精卵を凍結する場合、子どもを望む最初のステップが受精卵の凍結ではないと思いますが、一定期間妊娠しないといった悩みがあり、治療を考えるのでれば最初から高度不妊治療を行う専門クリニックを訪れても良いでしょう。
不妊治療の専門クリニックであっても、タイミング法や人工授精を行うこともでき、検査から始めることも可能です。
■初めて相談する場合の注意点
不妊治療は保険適用診療と自費診療がありますが、保険証は持参するようにしましょう。また、初回から高額が発生することは少ないと思いますが、医療機関によってはクレジットカードが使えることもありますので、確認しておいてください。
女性の場合、もし基礎体温表をつけていたら持参すると治療がスムーズに進むかもしれません。
■精子や卵子の凍結保存に関する支援制度の種類と特徴
東京都を例に上げると、従来の特定不妊治療費助成事業は令和3年末をもって終了しました。令和4年度からは採卵を含め、採卵の準備、移植などの高度不妊治療の多くが保険適用になりました。
保険適用には、女性の年齢が43歳未満という条件があります。保険適用については、医療機関ごとにて自由診療の治療もあるため、全てが3割負担ではありませんので、必ず確認するようにしてください。
不妊検査・一般不妊治療の助成金については継続しており、不妊検査及び薬物療法や人工授精等にかかる費用を一部助成してもらうことができます。精子凍結や卵子凍結の前には検査や投薬が必要になるはずですので、こちらを活用してください。
■支援制度の対象者や条件について
従来の特定不妊治療費助成事業の対象は年齢に上限がありました。条件は以下の通りです。
妻の年齢が40歳未満で通算1回目の助成を受けた夫婦 | 通算6回まで |
妻の年齢が40歳以上43歳未満で通算1回目の助成を受けた夫婦 | 通算3回まで |
※回の治療期間の初日における妻の年齢が43歳以上で開始した治療 | 対象外 |
また、保険適用についても、女性の年齢が40歳未満であれば通算6回まで、40歳以上43歳未満であれば通算3回までという条件が定められており、いずれも子ども1人あたりなので、不妊治療を行い、第二子を希望する場合、条件に合えば回数はリセットされます。
現在、所得制限については廃止されています。
■支援制度を利用する上での注意点
保険適用によって、これまでの特定不妊治療費助成事業は終了しています。これから精子凍結・卵子凍結を含め高度不妊治療を考えているのであれば、助成金ではなく保険適用について確認するようにしましょう。
お住まいの自治体でなんらかの助成を受ける場合や、医療費控除を受ける場合など、必ず治療の領収書が必要になるので保管するようにしてください。
■まとめ
精子・卵子凍結について最初に訪れるべき医療機関、支援制度についてご紹介しました。男性、女性いずれもまずは検査が必要で、自分の体のことを知ってから精子や卵子の凍結を考えましょう。例えば精子を凍結したい場合、精液の中に運動精子が存在しないのに凍結を行っても意味がありません。
将来自身の遺伝子を持つ子どもを望むのであれば、早めに選択肢として精子・卵子凍結を考えてみてください。