精子無力症とは？男性不妊の原因となる精子無力症について解説

• 精子無力症とは？他の症状との違い
• 精子無力症になる原因
• 精子無力症の治療方法
• 生活習慣の改善で精子無力症を予防する

近年、不妊の原因は男女ともにあるとされており、妊活開始時に男性も精液検査を受けることは必要不可欠となっています。
精子が全く動いていない場合には精子不動症、採精時に精子が死滅してしまっている状態を精子死滅症と呼びます。今回は精子無力症について考えていきましょう。

精子無力症とは？他の症状との違い

精子無力症とは、精液の中に精子は存在するものの、活発に活動できる精子が少ない状態のことを指し、「動いている精子が40％未満」の場合に精子無力症と診断されます。
男性不妊の多くを占める、造精機能障害は精子無力症の他に、精液の中に精子が見つけられない「無精子症」、精子の数が少ない「乏精子症」などがあります。精子無力症については、精液の中に精子が確認できているので、治療によって妊娠を目指すことは可能です。

精子無力症になる原因

精子無力症の原因については、ほとんど分からないとされており、後天的な原因としては精巣から心臓に向かう静脈の血流が悪くなり、血液が逆流することで瘤など生じる精索静脈瘤（せいさくじょうみゃくりゅう）などがあり、この場合は手術で改善が可能です。
しかし、それ以外の場合には生活習慣やストレスなどが影響していることが多いと考えられています。

精子無力症の治療方法

精子無力症を1回で改善できるような治療は残念ながらありませんが、不妊においては医療の力で妊娠を目指すことは充分に可能です。運動精子がどのくらい存在するかによって、治療項目は医師の判断が変わってきますが、精子の成分を調整することで、運動精子のみを残すことができます。その場合、人工授精を行います。
不妊治療にはいくつかの選択肢がありますので、ご紹介します。

• タイミング法
  女性の排卵日に合わせて、妊娠の可能性が高い日を指定する方法です。指定された日に性交渉を行うことで妊娠を目指します。自己判断でタイミング法を行っても妊娠に至らなかった場合には、精子無力症であった可能性もあるでしょう。充分に運動精子が存在し、女性側にも問題がなかった場合にはタイミングがずれていたことも充分に考えられるため、クリニックで指導を受けることは有効です。
• 人工授精
  人工授精は、妊娠の可能性が高い日に、成分を調整した精子を子宮腔内に直接注入する方法です。男性は病院内か自宅にて採精を行います。マスターベーションで採精できれば良いので、EDなど腟内射精が難しいケースの男性不妊にも効果的な方法です。
• 体外受精
  体外受精は、卵子と精子を体外で受精させて、受精卵を体内に戻す方法です。体外受精、顕微受精は高度不妊治療とされ、確実に受精した卵を子宮腔内に入れるため、妊娠率も高いとされています。受精できなかった場合には妊娠判定を待たずに結果がわかるため、不妊の原因も追求しやすい治療方法です。
• 顕微授精
  体外受精と顕微授精の違いは、体外受精はシャーレの中で卵子と精子を受精させるのに対して、顕微授精は1つの卵子に対し、1つの精子を確実に注入することにあります。そのためより運動率の高い精子を厳選することができると同時に、複数の精子が受精してしまうことによって起こる多精子受精、受精障害などを防ぐことができます。
  デメリットとしては料金面、また、少しでも自然に近い妊娠を目指したいという場合には敬遠される可能性もあるでしょう。

生活習慣の改善で精子無力症を予防する

精子無力症は、生活習慣の見直しで予防、改善を目指すことが可能です。

• 食事やサプリメント
  亜鉛や野菜を意識して、脂質の多い食事は避けるようにしましょう。健康的な食事は全ての基本であり、健康な精子を作り出してくれます。
• 睾丸を温めない
  精子は熱に弱く、長時間の入浴やサウナはあまりおすすめできません。膝の上にノートパソコンを置くことなども習慣になっているのであれば見直しましょう。
• 喫煙、過度な飲酒、睡眠不足、運動不足
  どれも精子にとって良いこととは言えません。お酒は完全にやめる必要はありませんが、特に採精の前の日などは控えた方が良いでしょう。
• 禁欲をしない
  禁欲をした方が多くの精子を獲得できるのではないかと勘違いを引き起こしやすいのですが、頻繁に射精することで新鮮な精子が作られます。
• ストレス
  ストレスは妊活の大敵です。あまり考えすぎてもよくないので、なるべくパートナーと楽しみながら改善に勤めましょう。